3年半という月日をかけて、私は10kgの減量をしました。体脂肪率も15%前後を維持しており、50代なりに健康管理には気を配っているつもりでした。
しかし、そんな日常の中で、無視できない身体のサインが現れ始めていたのです。それが「耳鳴り」でした。
今回は、私がこの微かなサインをどう捉え、最新の計測ツールを使ってどのように「身体の状態」を可視化していったのか。その過程で得られた気づきについて、整理してお伝えします。
はじめに:耳の奥で鳴り始めた、小さなサイン
減量を続けていても、拭いきれなかった違和感
ダイエットに成功して体が軽くなると、つい「自分はもう大丈夫だ」と安心したくなります。私も食事や運動の習慣が身についていたので、健康上の大きな不安はあまり感じていない時期がありました。むしろ、鏡を見るたびに「自分は同世代よりも動ける身体だ」という自信さえ芽生えていました。
ところが、2026年に入った頃から、ふとした瞬間に耳の奥で「キーン」という高い音が響くようになったのです。
最初は疲れや寝不足のせいだろうと思っていました。年齢的な変化かもしれないと、やり過ごすこともできました。しかし、その音は一度きりではなく、忘れた頃に何度も、静かに私の意識を遮るように聞こえてくるのでした。
この「小さな違和感」を、単なる一時的な体調不良として無視するか、あるいは何かのシグナルとして捉えるか。その判断が、その後の健康管理を大きく変えることになります。
「疲れ」のせいにする前に、客観的な状態を知る
50代になると、ちょっとした不調を「年のせい」や「疲れのせい」で片付けてしまいがちです。それはある種の自己防衛かもしれませんが、そこには大きなリスクが潜んでいます。
私は以前、ダイエットを通じて「感覚(今日は痩せた気がする)がいかに当てにならないか」と、「数値(体重や体組成)がいかに冷淡でも正確か」を痛感していました。であれば、この耳鳴りという不快な感覚も、何か具体的な数値の変化とつながっているのではないか。そう考えたのが、本格的な記録を始めるきっかけとなりました。
「耳鳴りがした時に測る」で見えてきた共通点
違和感を覚えた瞬間に、手首の血圧計を起動してみる

私が導入したのは、血圧計測機能を持つスマートウォッチ「HUAWEI WATCH D2」でした。これまでの血圧計測といえば、上腕にカフを巻いて数分間じっと座っている必要がありましたが、このデバイスは手首で即座に計測が可能です。
ある日の夕方、デスクワーク中にあの「キーン」という音が響きました。 「今、測ってみたらどうだろう」 そう思い、即座に計測ボタンを押しました。
これまでは、朝や晩の決まった時間に、いわゆる「安静時」の数値を測るのが当たり前だと思っていました。しかし、それでは「生活の中で異変を感じている瞬間」の数値は捉えられません。手首でいつでも測れる環境があったからこそ、体調の変化を感じた「その瞬間」のデータをサンプリングすることができたのです。
「143mmHg」という数字が教えてくれた、一つの可能性
計測の結果、画面に表示されたのは「143/92 mmHg」という数字でした。
「あ、やっぱり血圧が高いときに鳴っているのかもしれない」
自分の中では、この数字を見た瞬間に、点と線がつながったような予感がありました。それまではただの不快な雑音でしかなかった耳鳴りが、今の自分の血圧の状態を教えてくれる「生体通知」のような役割に変わったのです。
この「気づき」が得られたのは、最新のガジェットを身につけていたからに他なりません。従来の血圧計を鞄から取り出している間に、血圧のピークや耳鳴りの感覚は消えてしまっていたでしょう。
自動記録ツールが、身体のサインを逃さない理由
スマホと連携し、手間なくデータが蓄積される利便性
今回の気づきを、単なる偶然で終わらせず、検証可能なデータへと昇華させるためには、継続的な記録が不可欠です。ここで力を発揮したのが、現代の計測ツールが備えている「通信機能」と「自動同期」の仕組みでした。
私が現在活用しているツール群(血圧計、体重計など)は、測った瞬間にスマホアプリへデータが自動転送されるよう設定しています。

- ボタンを押して計測する
- 自動的にBluetoothでスマホへ転送される
- クラウド上で自動的にグラフ化される
この一連のプロセスに、私の「メモを取る」という作業は一切介在しません。
記録のハードルを下げることが、正確な把握につながる
なぜ「自動」であることに、これほどこだわるのか。それは、人間の記憶力や意志力がいかに脆弱であるかを自覚しているからです。
もし、測るたびに血圧手帳を開き、日付と数値をペンで記入しなければならなかったとしたら、仕事中や移動中に起きた耳鳴りの記録をどれだけ残せたでしょうか。おそらく数回で「後でまとめて書こう」と思い、そのまま忘れてしまっていたはずです。
「手間をゼロにする」ことは、単なる便利さの追求ではありません。記録の漏れを防ぎ、その時の「感情」や「書き間違い」といったノイズを排除することで、ありのままの数値を蓄積していくための論理性に基づいた戦略なのです。
「自分は大丈夫」という思い込みを、フラットなデータで更新する
過去の成功体験というバイアスを取り除く
10kgの減量に成功したという経験は大きな自信になりました。しかし、その自信は諸刃の剣でもあります。「今の自分は正しい生活習慣を身につけているはずだ」という強い思い込み(バイアス)を生んでしまうからです。
しかし、スマートウォッチに表示された「143mmHg」という無機質で冷淡な数字は、そんな私の主観を静かに、しかし力強く修正してくれました。
「どれだけ痩せていても、血圧が高いという事実は現実に存在している」
データは常に、今の自分を冷徹に、そしてフラットに映し出してくれます。この「データの鏡」を見る勇気を持つことが、50代からの健康管理には不可欠だと痛感しました。
不安を「具体的な課題」へ変えていく思考法
原因がわからないまま耳鳴りが続くと、「何か重大な病気が隠れているのではないか」という漠然とした不安が頭をもたげます。この「正体不明の不安」は精神的なストレスとなり、さらなる血圧上昇を招く悪循環を生みかねません。
しかし、ログを録り始めて「耳鳴り=血圧の変動」という仮説:思い込みは「これからどう改善していくか」という具体的な課題に置き換わります。
「血圧が高いのなら、何が原因で上がっているのか?」「食事の塩分か、仕事のストレスか、あるいは睡眠の質か?」 検証すべき対象が明確になることで、気持ちは不思議と前向きになり、落ち着きを取り戻していきました。
まとめ:本格的な計測のスタートラインへ
耳鳴りという身体からの小さなサインを、最新デバイスの力を借りて「血圧」という数値と照らし合わせてみたこと。これが、私のこれからの健康管理における第2章の幕開けとなりました。
「なんとなく調子が悪い」という曖昧な主観を、「数値で見るとこうなっている」という客観的な事実に変換すること。このプロセスを経るだけで、健康維持というあやふやな目標が、具体的でコントロール可能なプロジェクトへと変わります。
もちろん、今回見つけたのはあくまで「ひとつの予感」に過ぎません。これから必要なのは、生活のあらゆるシーンでどのように数値が動いているのかを、より長期的、多角的に見守る「徹底ログ」の実施です。
次回は、私が実際にどのような道具を組み合わせ、どのようなルーティンで日々の記録を生活の中に溶け込ませているのかについてお伝えします。
次回予告:2026年2月、徹底ログ開始。私の便利ツールと朝夜の習慣
今回の気づきをきっかけに、私は2026年2月から本格的な「徹底ログ」へと舵を切りました。
身体の小さなサインを逃さないためには、単に高機能な道具を揃えるだけでは不十分です。それらが「空気のように自然に」生活の中に溶け込み、意識せずともデータが集まる仕組みを作ることが何より重要でした。
次回は、私が試行錯誤の末にたどり着いた「記録の裏側」を詳しく公開します。
- 手首の血圧計だけではない、連携ツールの正体 スマートウォッチ、体組成計、そしてそれらを束ねるスマートフォンアプリ。バラバラの数値を一つの「健康の地図」として統合する、私の選んだ便利ツールたちを紹介します。
- 朝起きてから寝るまで。無理のない「計測ルーティン」 「頑張って記録する」のをやめました。洗顔や歯磨きと同じように、生活動線の中に計測を組み込むことで、ストレスなく習慣化するための具体的なタイムスケジュールを公開します。
- 24時間の変化を追って見えてきた、自分だけの「波」 朝夜の決まった計測だけでは見えなかった、日中のストレスや睡眠中の状態。徹底ログによって浮き彫りになった、私自身の身体の意外なリズムとは。
「記録が続かない」「何を揃えればいいかわからない」という方へ。 私が実際に使い倒している道具と、日々の習慣を一つのパッケージとしてお伝えします。身体の声を聞き、不安を確信に変えるための具体的な実践編です。どうぞお楽しみに。
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